当社(株式会社K&K)が製造販売しているアルカリ電解水と微酸性電解水。
その2種類の電解水を研究開発し、商品化に至った歴史のご紹介です。
アルカリ電解水開発のきっかけ
2003年3月、当社の親会社であるネジ・ボルトのメーカー㈱新栄製作所は、第二事業部としてアルカリ電解水の開発に着手しました。
きっかけは、ネジの洗浄でした。ネジを加工する際は専用の油を大量に使用しますが、加工後ネジに付着した油を通常は工業用の有機溶剤で洗浄します。しかし、有機溶剤の使用は作業が大変なうえ刺激臭が強く、現場作業員の健康面や環境負荷が大きい等、様々な問題がありました。
そこで、もっと人と環境に優しいものはないかと探していたところ、油を分解する「水」があるということを知りました。
水を電気分解し強いアルカリ性にすることによって、洗浄力が強く金属も錆びない夢のような「水」。それがアルカリ電解水です。
アルカリ電解水でネジを洗浄中(左)と洗浄後のネジ(右)
さっそくネジ洗浄用アルカリ電解水の製造開発に着手し、将来的には社内で使用するだけでなく、自社商品の工業用洗浄水として他社にも販売することを目標に掲げ、本格的に事業をスタートさせました。
株式会社K&K設立
当初、高いpHのアルカリ電解水を生成する技術の開発は非常に難航し、大きな壁に何度もぶつかりました。
試行錯誤を重ねてpH12.5まで生成することには成功しましたが、まだまだ洗浄力は弱く錆の問題も解決できませんでした。また、20ℓを生成するのに数時間もかかるなど大量生成が難しいこともネックでした。このままでは、社内で使うだけならまだしも、販売していくとなると全く量が足りません。
より高いpHのアルカリ電解水を大量生成する技術を得るためには、電気化学の専門家に相談することや外部機関との協力や連携が必要と考えました。
㈱新栄製作所の本業はネジ・ボルトの製造であり、電解水の製造販売は全く異分野への進出であるため、2004年3月に第二創業会社として株式会社K&Kを設立。電解水の開発に特化することで、様々な分野からの協力を得られるようになり、特にのちの大阪府立大学との共同研究が大きなポイントとなりました。
アルカリ電解水の除菌効果を確認
2005年2月、新たな効果の確認として、アルカリ電解水には強い除菌力があることがわかりました。
アルカリ電解水pH12.5を試験水として、外部の研究機関(京都微生物研究所)にて除菌効果試験を実施したところ、大腸菌・サルモネラ菌・腸炎ビブリオ・緑膿菌の4種類の菌が噴霧1分後には検出されず、3分後も増殖はありませんでした。
アルカリ電解水pH12.5を噴霧する前(左)と噴霧1分後(右)の大腸菌の様子
なぜアルカリ電解水に除菌力があるのでしょうか。それは大半の細菌や微生物は、生育可能なpH領域がpH4~10の中性付近であり、高アルカリの領域では生育・増殖できないためです。
強い洗浄力だけでなく除菌力もある水となれば用途はかなり広がり、それ以降の大きな可能性を見出すことができるようになりました。
ただし、黄色ブドウ球菌の1種類については良い結果が得られず、このことが後の新商品(微酸性電解水)の開発にも繋がっています。